トピアリーとは
WHAT IS TOPIARY
そもそもトピアリーとは?
トピアリーとは、庭園の生垣技術として古代ギリシャで生まれ、古代ローマで育った文化です。その後、ローマ帝国が衰退し、1400年代にメディティ家がフィレンツェを支配するとルネッサンス文化が花開き、イタリアにおいて多数のトピアリー庭園を有した名園が建設され、これがヨーロッパ全土に広がりました。
しかしながら18世紀前半にはイギリスの風景式庭園が台頭し、トピアリー庭園は衰退します。度重なる世界大戦を経た20世紀後半に、戦火を逃れたアメリカにおいて緑の動物園と称する動物などの形をした単体のトピアリーが登場します。
これを広く一般の方々に知らしめたのは、ウォルトディズニーではないでしょうか。1960年代のディズニーランドに、キャラクターの形をした植木のトピアリーが登場したのです。
一方、日本では生垣の刈込み技術の他に鶴や亀などの縁起物のオブジェが江戸時代後期に流行し、菊細工の流行とともに、興行として菊人形も作られました。
現在は西洋庭園のほかに、テーマパークのキャラクターやイベント会場のアイキャッチ、フォトスポットにみられ、作り方も進化しています。
(文責 宮崎雅代)
©Levens Hall
日比谷公園のトピアリー
「記述の存在を確認できた」としかお伝えできませんが、トピアリーの語源と起源は以下のとおりです。
トピアリーの語源は?
古くは紀元77年に大プリニウスにより完成された『博物誌』の記述にみることができます。
『Plinii Naturalis Historia』1)によると第12巻に「orbem quodam opere topiario.」という表記があります。opere topiarioの単数主格形はopus topiariumなので、このopus topiariumが語源ではないでしょうか。 『Plinii Naturalis Historia』の英訳版2)で同様の箇所を探してみると「the work of the ornamental gardener.」となり、opus topiariumに対応する英訳はthe ornamental gardenerつまり観賞用庭木職人となります。
さらに『THE OXFORD COMPANION TO THE GARDEN』3)によると語源について「The etymology of topiary is derived from topos, the Greek for place, and the Latin opus topiarium means simply ‘work on the place’ or, specifically, work on the landscape.」と記載されています。
つまり「トピアリーの語源は、ギリシャ語で「場所」を意味するトポスに由来し、ラテン語のopus topiariumとは、単に「場所に関する仕事」、具体的には「景観に関する仕事」という意味である。」と述べています。
トピアリーを誰が考案したの?
『Plinii Naturalis Historia』1)第12巻に「primus C. Matius ex equestri ordine, Divi Augusti amicus, invenit nemora tonsilia intra hos LXXX annos.」、英訳2)では「C. Matius, a member of the Equestrian order, and a friend of the late Emperor Augustus, invented the art of clipping arbours, within the last eighty years.」の記述があります。
さらに翻訳本『プリニウスの博物誌 第Ⅱ巻』4)では「刈り込み庭園は故アウグストゥス陛下の友人の一人であったガイウス・マティウスという騎士身分の一員によって考案された」とあります。
トピアリーの起源はいつ?
上記のことからトピアリーの起源は古代ローマ時代であり、 その語源とされるopus topiariumは「庭園を刈込む庭師およびその仕事」を指し、 考案者はガイウス・マティウスだったという記述の存在が確認できました。
これらの記述を転記する場合は「https://www.topiarygarden.jp/what_is_topiary/ 文責:宮崎雅代」を明記し、当ページにリンクを張っていただきますようお願いいたします。
©Levens Hall
- 脚注1 Pliny the Elder :Liber Ⅻ :
<https://penelope.uchicago.edu/Thayer/L/Roman/Texts/Pliny_the_Elder/12*.html>
Produced by Turgut Dincer, Stephen Rowland and the Online Distributed - 脚注2 Pliny the Elder Translator:Johin Bostock Henry T. Piley :The Natural History of Pliny.Voi.3 (of 6) Produced by Turger Dincer, Stephen Rowland and the Online Distributed Proofreading Team,
ホームページ < https://www.gutenberg.org/cache/epub/59131/pg59131-images.html#BOOK_XII_CHAP_10> - 脚注3 Edited by Patrick Taylor (2006):THE OXFORD COMPANION TO THE Garden: OXFORD UNIVERSITY PRESS, 471-472
- 脚注4 中野定雄・中野里美・中野美代 (1986):プリニウスの博物誌 第Ⅱ巻:雄山閣出版株式会社, 538
トピアリーの種類
生垣を技術を用いて樹木を総計的に刈りこんだもの
金属などで作った型に、水苔など土に変わるものを
詰めて、そこにつる性植物を植えたもの
金属などで作った型を用いて樹木やつる性植物を仕立てたもの
金属などで作った型に土壌基盤を設置し、花苗を植えたもの
トピアリーあふれる社会の実現に向けて
トピアリーを見つけた方々は、微笑み、駆け寄り、記念写真を撮っていかれます。そのような「笑みあふれる場」をトピアリーで作りたい、と願っています。 パースは当社が考えたトピアリーカフェ。水が流れ、音楽を奏で、光を放つトピアリーが点在するトピアリーカフェです。 「笑みあふれる場」は「安心して働ける場」でもあってほしい。働き方改革が進む一方で心を病む人も増加する現在、命あるオブジェ「トピアリー」のある空間・場が固くなった人の心をゆっくりと溶かすことも願っています。